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ダブル補選、与野党それぞれの苦戦
2023/10/18 6:00

岸田内閣の支持率が発足以来最低となる中、与野党一騎打ちの衆参ダブル補選が後半戦に入っている。「2勝」をめざす自民党には焦りが見える一方、立憲民主党に追い風が吹いているわけでもない。

■「世襲」めぐる長崎の攻防

古くから港町として栄え、海上自衛隊や米海軍の基地がある長崎県佐世保市。与野党の激戦となっている衆院長崎4区補選の中心地だ。

立憲の泉健太代表は告示された10日、同市で国民民主、社民両党の地元幹部や連合長崎の幹部とともに、立憲前職の末次精一氏（60）=社民推薦=の出陣式に立った。「連合も国民民主も社民も力をあわせてガソリンの値下げを訴えている。与党に力を与えても実現しない。国民目線の政策を実現させるには野党に力を与えるべきだ」

他の野党が擁立を見送り、野党候補として一本化された末次氏への支持を訴え、そして泉氏は続けた。「二世三世ばかりじゃない政治を作ろう」

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対する自民新顔の金子容三氏（40）=公明推薦=は祖父の代から、この地で国政や地方政治に関わり続けた政治家一家の3代目。立憲は「世襲」の問題に焦点を合わせる。15日夕。離島を行き来するフェリーが行き交う佐世保市内の港の広場で黒いスーツにたすきをかけた末次氏は変化を訴えた。「長崎は利権がひどいと言われる。長崎の政治を牛耳ってきた人たちがいまの長崎の状況を作り出している」

一方の自民。投開票日まで残り1週間となった15日。晴れ渡った日曜の昼下がり、佐世保駅近くの公園の広場に数百人の聴衆が集まった。

視線の先には岸田文雄首相と並ぶ金子氏がいた。黒く日に焼けた肌と対照的な白いジャンパーに身にまとった金子氏は、必死な表情で声を張り上げた。

　「私は生まれたころから政治家の息子だったが、歩んできた道はむしろみなさんと同じような人生を歩んできた」

地元有権者に世襲はもはや隠しようがない。だが、金子氏が演説で、長崎県知事や農林水産相を務めた元参院議員の父・原二郎氏や家系に直接、触れることはほとんどない。マイクを握った首相も約20分間の演説で、岸田派に所属した原二郎氏に言及しなかった。